約款 民法 改正。 定型約款 ~民法の改正がどのようにビジネスに影響するのか~ :弁護士 拾井央雄 [マイベストプロ京都]

民法改正で新設!「定型約款」とは?【改正民法と契約書 第7回】

約款 民法 改正

請負契約とは 請負契約は、当事者の一方(請負人)がある仕事を完成することを約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約です。 請負契約は、売買・賃貸と並ぶ身近でメジャーな契約だといえます。 請負契約の具体例:システムやプログラムの開発、ホームページの制作、建物の建築や増改築、土木工事など 請負契約の原則 請負契約の根本は、注文者からの発注に基づき、請負人が仕事の完成を約束することです。 従って、仕事が完成しないことには報酬は発生しないということが大原則となっています。 請負契約については、「出来上がった物に満足がいかない」「欠陥がある」などというトラブルも起こりがちです。 また金額が高額になるケースも少なくありません。 こうしたトラブルの予防、解決に向けて、今回の民法改正では「請負契約」に関する規定が大きく変更されました。 請負契約の大きな変更点 民法改正で請負契約についての大きな変更点は次の三つです。 不適合責任• 報酬請求• 期間制限 以下、順番に説明していきます。 不適合責任 「瑕疵(かし)」から「契約不適合」へ 改正民法では、従来の瑕疵担保責任は廃止され、目的物(成果物)が契約内容に適合していないことに対する責任(契約不適合責任)が新たに規定されました。 瑕疵担保責任とは、例えば引き渡しを受けた建物などに欠陥があった場合、請負人がこれを補償しなければいけない責任のことをいいます。 「瑕疵(かし)」とは「傷、欠点」を意味する言葉ですが、一般には分かりにくいことから「契約不適合」という言葉に置き換わりました。 改正民法では、請負人が行った仕事の内容が契約内容に適合しない場合を「契約不適合」=「請負人の債務不履行」と捉え、売買契約と同様に債務不履行の一般規定を適用することとなりました。 詳しくは過去記事(「民法改正で売買契約が変わる!」の巻)をご覧ください。 契約の内容に適合しない場合、注文者には以下のような解決策があります。 今回の改正では「d. 代金減額請求」という手段が新たに加わりました。 修補請求(修理するなどして欠陥を補うこと)• 損害賠償請求• 契約解除(契約をなかったことにすること)• 代金減額請求 2. 報酬請求 未完成でも報酬請求が可能に 請負契約は、請負人が仕事の完成を注文者に対して約束し、その仕事の完成に対して報酬が支払われる性質の契約です。 そのため、改正前の民法では、原則として仕事が完成して目的物を引き渡した段階で報酬が支払われることとなっていました。 また請負契約が仕事の完成前に解除等により終了した場合に、既に完成した一部に対する報酬を請求できるかどうかについて、法文上は明らかとなっていませんでした。 しかし、今回の改正により、請負人は、一部でも完成した目的物によって注文者が利益を受けた場合、その利益の割合に応じて報酬を請求できることが法文上明らかになりました。 仕事を完成できなかったことについて請負人に帰責事由があった場合でも、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できるということです(ただし、仕事を完成できなかったことについて、注文者から請負人の債務不履行に基づく損害賠償請求がなされる可能性はあります)。 期間制限 「不適合を知ったときから1年以内」に変更 瑕疵担保責任を追及できる期間について、改正前の民法では、原則、「目的物を引き渡したときから1年以内」とし、建物その他の土地の工作物についてのみ、材質に応じて5年または10年に延長していました。 これでは注文者が瑕疵の存在を知らない場合にも、引き渡しから1年を経過すると担保責任が追及できないことになり、注文者の不利益が大きすぎるといわれていました。 そこで、改正民法では、注文者の負担を軽減するために、注文者が目的物の種類または品質が契約の内容に適合しないことを知ったときから1年以内にその旨を請負人に通知することで、その不適合を理由として、請負人の担保責任を追及できることとなりました。 ただし、請負人が不適合を知っていた場合、または重過失により知らなかった場合についての期間制限はありません。 その他の変更点 土地の工作物に関する特則も削除 土地の工作物に関する特則も削除されました。 従来は、目的物が土地工作物の場合、瑕疵があっても注文者からは契約解除(契約をなかったことにすること)はできないとされていました。 しかし、改正により、注文者からも解除することが可能になりました。 従来は、建物その他の土地の工作物には社会的価値があるため、これを解除によって取り壊すことは社会的な損失となるとともに、請負人に過酷な負担を課すものであると考えられていました。 しかし、時代も変化して、契約の目的を達することができないほどの瑕疵がある建物・土地工作物には社会的価値を見出すことは難しく、そうした欠陥のある建築物等の存在を許すことはむしろ社会的に有害であると考えられるようになったのです。 また、このような瑕疵のある建物等を建築した請負人に、その解体や建て替えを負担させたとしても必ずしも過酷とはいえないと考えられるようになりました。 以上、請負契約における改正前後の変更点を下の表にまとめました。 項目 改正前 改正後 目的物(成果物)の考え方 瑕疵 (欠陥やバグなど機能不足が中心) 契約との不適合 (契約内容、目的との不適合) 請負人への請求期限 納品から 1年以内 不適合を知ってから1年以内(ただし5年を上限とする) 代金減額請求 規定なし 履行の追完を催告したにもかかわらずこれがない場合に、不適合の程度に応じて代金の減額請求が可能 未完成時の報酬 規定なし 注文者が目的物の一部で利益を得ている場合、請負人が利益の割合に応じて請求可能 土地の工作物に関する特則 注文者からは契約解除できない 特則は削除され、注文者からの契約解除も可能 請負契約に当たって今後の注意点 請負人となる場合は 今回の改正を踏まえて、あらためて社内の契約文書をチェックしておきましょう。 請負契約書のひな型を作成する際や、他社のひな型を流用する際には、次の観点から検討することをおすすめします。 契約書の瑕疵担保条項と解除条項を確認する• そのうえで民法改正を踏まえた修正を行うかどうか検討する• 修正する場合は、条項を修正• 修正しない場合は、「民法改正を踏まえた条項になっていない」と契約相手方から指摘を受けた場合、どのように回答するかを検討する• 従業者への教育(とりわけ瑕疵対応はトラブルになる場合も多いので、十分な教育が必要です) 建設業者など一般消費者向けの定型的な約款を用いる会社の場合には、「定型約款」に関する民法改正ルールもおさらいしておくとよいでしょう。 注文者となる場合の注意点 請負人から提示された契約書に漫然とサインすることのないよう気を付けましょう。 契約においては当事者の間で民法の規定とは異なる合意をすることも可能です。 こうした「任意規定」について、民法と比較して自社に不利になっていないかを検討することです。 ポイントは次の2点。 自社にとって改正民法よりも不利な扱いになっている条項はないか(特に、不適合が生じた場合にどのような対応を取ってくれるのか)• それは自社にとって甘受しうるものか 以上、リスクの洗い出しと評価を行い、不明点等があれば気後れせず請負人にどんどん確認しておきましょう。

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民法改正直前特別講座 請負契約書・契約約款見直しのポイント|ナイスビジネスレポート|ナイス株式会社

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改正民法:民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)に基づく改正後の民法 定型約款変更の要件 定型約款の変更 民法の原則では、契約当事者の合意がなければ、一旦締結した契約の個別の条項を変更することはできません。 しかし、多数の相手方との間で締結している定型取引にかかる契約で、特にこれが一定期間継続するものであるときに、定型約款準備者側で約款中の条項を変更する必要性が生じた際、全当事者と個別に合意しない限り変更の効力が生じないとしたのでは、取引において定型約款を用いる実益がなくなり、現実的ではありません。 そこで、改正民法では、以下のいずれかの要件(実体的要件)を満たせば、2で述べる手続を経たうえで、定型約款を変更できるとする規定が新設されました(改正民法548条の4第1項)。 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき( 利益変更) または• 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、改正民法548条の4の規定により定型約款を変更することがある旨の定めの有無およびその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき( 不利益変更) 上記のうち、利益変更に関しては、相手方に不利益がないため、広範に変更が認められることに違和感はないかと思います。 そこで以下では、不利益変更の要件について概説します。 目的適合性について 定型約款の変更が、契約をした目的に反しないかどうかは、 一方当事者の主観的な意図ではなく、両当事者で共有された当該契約の目的を基準に判断されます。 たとえば、定型約款準備者の採算性を確保するための不利益変更の場合、それだけではただちに目的適合性が認められることにはならないでしょう。 以下では、法文に例示列挙された要素ごとに解説を加えたいと思います。 (1)変更の必要性について ここにいう変更の必要性とは、相手方から個別同意をとることの困難性や、当該変更がなければ契約をした目的を達せられないような事情の有無をいいます。 ですので、定型取引にかかる契約であっても、実際の契約相手方の人数が少ない場合や、あえて変更しなくても契約をした目的が達せられるような場合には、変更の必要性が乏しく、合理性を否定する方向に作用するといえるでしょう。 (2)変更後の内容の相当性について 変更後の内容が相当であるか否かは、相手方に及ぶ不利益の性質や程度等を勘案して判断されることになります。 現時点で具体的な基準は定められておらず、ケースバイケースの判断になりますが、たとえば、原材料の高騰によりサービス料金を値上げするような変更を例にとれば、原材料の高騰分を転嫁する以上の値上げについては、相当性なしと判断されるものと思われます。 なお、不当条項規制 の対象となるような条項は、相当性を欠くと判断されるでしょう。 (3)変更条項の有無およびその内容について 改正民法548条の4の規定により定型約款を変更することがある旨の定め(「 変更条項」)とは、たとえば「本約款は、民法548条の2の規定により変更されることがあります。 」というような定型約款内の定めのことをいいます。 改正民法には、この変更条項の有無が、約款変更の合理性を基礎づける一事情となることが明記されました。 ただ、単に変更条項を設けるだけでは、合理性を基礎づける事情としては弱く、肝腎なのは「その内容」の部分です。 変更条項により合理性を基礎づけるためには、定型約款の変更を必要とする事由を、想定しうる限り例示的に列挙したうえで、変更の手続も明記しておく必要があります。 (4)その他変更に係る事情について 上記のほか、たとえば変更後の契約内容に拘束されることを望まない相手方に、任意の解除権を与えているかどうか、同業他社が一般に相手方に課している負担との対比、変更の効力発生までの猶予期間の長短等も、変更に係る事情として、合理性判断の一事情とされます。 変更の手続について 変更の手続 定型約款の変更を行うには、上記 1で述べた実体的な要件のほかに、以下の手続(手続的要件)を経る必要があります(改正民法548条の4第2項)。 定型約款の変更の効力発生時期を定めること• 定型約款を変更する旨および変更後の定型約款の内容ならびにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知すること 上記の手続は、不利益変更の場合のみならず、利益変更の場合にも必要になります。 不利益変更の場合に手続を怠れば、いかに目的に適合した合理的な変更であっても、効力が生じないことになりますので、注意が必要です。 さらに、不利益変更の場合には、変更の効力発生時期が到来するまでに周知することも必要になりますので(改正民法548条の4第3項)、併せて留意が必要です。 周知の方法 定型約款の変更に関しては、相手方に個別に通知することまでは必要なく、適切な方法で周知されていれば足ります。 したがって、ウェブサイトに変更する旨とその内容、効力発生時期を掲載し、相手方の閲覧の機会を設ける程度でも、周知に関する手続的要件は満たされます。 ただし、相手方の権利義務に一定の変更を及ぼすなど、不利益の程度が小さいとはいえないような変更については、変更の合理性(実体的要件)を担保するため、相手方に個別に通知することも検討に値するものと思われます。 経過規定との関係 「 」で言及したように、定型約款の変更に関する規律は、改正民法施行前に締結された定型取引に係る契約にも適用されます(改正民法附則33条1項)。 したがって、現在運用し、また今後運用しようとする定型約款に、契約の目的や、具体的な変更条項を盛り込むなどしておけば、改正民法施行後に定型約款の変更を行うにあたり、目的適合性や合理性を基礎づける事情となりますので、今後は、このような定めの有無を必ず確認すべきといえるでしょう。

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定型約款 ~民法の改正がどのようにビジネスに影響するのか~ :弁護士 拾井央雄 [マイベストプロ京都]

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改正民法:民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)に基づく改正後の民法 定型約款変更の要件 定型約款の変更 民法の原則では、契約当事者の合意がなければ、一旦締結した契約の個別の条項を変更することはできません。 しかし、多数の相手方との間で締結している定型取引にかかる契約で、特にこれが一定期間継続するものであるときに、定型約款準備者側で約款中の条項を変更する必要性が生じた際、全当事者と個別に合意しない限り変更の効力が生じないとしたのでは、取引において定型約款を用いる実益がなくなり、現実的ではありません。 そこで、改正民法では、以下のいずれかの要件(実体的要件)を満たせば、2で述べる手続を経たうえで、定型約款を変更できるとする規定が新設されました(改正民法548条の4第1項)。 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき( 利益変更) または• 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、改正民法548条の4の規定により定型約款を変更することがある旨の定めの有無およびその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき( 不利益変更) 上記のうち、利益変更に関しては、相手方に不利益がないため、広範に変更が認められることに違和感はないかと思います。 そこで以下では、不利益変更の要件について概説します。 目的適合性について 定型約款の変更が、契約をした目的に反しないかどうかは、 一方当事者の主観的な意図ではなく、両当事者で共有された当該契約の目的を基準に判断されます。 たとえば、定型約款準備者の採算性を確保するための不利益変更の場合、それだけではただちに目的適合性が認められることにはならないでしょう。 以下では、法文に例示列挙された要素ごとに解説を加えたいと思います。 (1)変更の必要性について ここにいう変更の必要性とは、相手方から個別同意をとることの困難性や、当該変更がなければ契約をした目的を達せられないような事情の有無をいいます。 ですので、定型取引にかかる契約であっても、実際の契約相手方の人数が少ない場合や、あえて変更しなくても契約をした目的が達せられるような場合には、変更の必要性が乏しく、合理性を否定する方向に作用するといえるでしょう。 (2)変更後の内容の相当性について 変更後の内容が相当であるか否かは、相手方に及ぶ不利益の性質や程度等を勘案して判断されることになります。 現時点で具体的な基準は定められておらず、ケースバイケースの判断になりますが、たとえば、原材料の高騰によりサービス料金を値上げするような変更を例にとれば、原材料の高騰分を転嫁する以上の値上げについては、相当性なしと判断されるものと思われます。 なお、不当条項規制 の対象となるような条項は、相当性を欠くと判断されるでしょう。 (3)変更条項の有無およびその内容について 改正民法548条の4の規定により定型約款を変更することがある旨の定め(「 変更条項」)とは、たとえば「本約款は、民法548条の2の規定により変更されることがあります。 」というような定型約款内の定めのことをいいます。 改正民法には、この変更条項の有無が、約款変更の合理性を基礎づける一事情となることが明記されました。 ただ、単に変更条項を設けるだけでは、合理性を基礎づける事情としては弱く、肝腎なのは「その内容」の部分です。 変更条項により合理性を基礎づけるためには、定型約款の変更を必要とする事由を、想定しうる限り例示的に列挙したうえで、変更の手続も明記しておく必要があります。 (4)その他変更に係る事情について 上記のほか、たとえば変更後の契約内容に拘束されることを望まない相手方に、任意の解除権を与えているかどうか、同業他社が一般に相手方に課している負担との対比、変更の効力発生までの猶予期間の長短等も、変更に係る事情として、合理性判断の一事情とされます。 変更の手続について 変更の手続 定型約款の変更を行うには、上記 1で述べた実体的な要件のほかに、以下の手続(手続的要件)を経る必要があります(改正民法548条の4第2項)。 定型約款の変更の効力発生時期を定めること• 定型約款を変更する旨および変更後の定型約款の内容ならびにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知すること 上記の手続は、不利益変更の場合のみならず、利益変更の場合にも必要になります。 不利益変更の場合に手続を怠れば、いかに目的に適合した合理的な変更であっても、効力が生じないことになりますので、注意が必要です。 さらに、不利益変更の場合には、変更の効力発生時期が到来するまでに周知することも必要になりますので(改正民法548条の4第3項)、併せて留意が必要です。 周知の方法 定型約款の変更に関しては、相手方に個別に通知することまでは必要なく、適切な方法で周知されていれば足ります。 したがって、ウェブサイトに変更する旨とその内容、効力発生時期を掲載し、相手方の閲覧の機会を設ける程度でも、周知に関する手続的要件は満たされます。 ただし、相手方の権利義務に一定の変更を及ぼすなど、不利益の程度が小さいとはいえないような変更については、変更の合理性(実体的要件)を担保するため、相手方に個別に通知することも検討に値するものと思われます。 経過規定との関係 「 」で言及したように、定型約款の変更に関する規律は、改正民法施行前に締結された定型取引に係る契約にも適用されます(改正民法附則33条1項)。 したがって、現在運用し、また今後運用しようとする定型約款に、契約の目的や、具体的な変更条項を盛り込むなどしておけば、改正民法施行後に定型約款の変更を行うにあたり、目的適合性や合理性を基礎づける事情となりますので、今後は、このような定めの有無を必ず確認すべきといえるでしょう。

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