フレイル サルコペニア 学会。 日本サルコぺニア・フレイル学会in京都

サルコペニア診断基準2019が公表、プライマリケア現場での診断が可能に

フレイル サルコペニア 学会

日本サルコペニフレイル学会in京都。 2017年10月14. 15日。 サルコペニアは加齢による骨格筋量の低下、筋力の低下を言う。 サルコペニアは、昨年WHOが、国際疾病分類ICD10に診断名として、正式に追加した。 フレイルとサルコペニアは併存することが多い。 糖尿病の人は筋力が増えにくい。 2型糖尿病では、サルコペニアの有病率が非常に高い。 また、無自覚である。 年々増加傾向にあり、介護施設のレジスタンストレーニングの運動の理解の無さが影響。 65歳以下の大腸癌にサルコペニアが起きると、死亡率が非常に高い。 エンシュアリキッドの投与方法に間違いがある。 重度の低栄養に投与しても、運動もさせない状況で栄養状況は、改善しない。 エンシュアリキッドは高齢者栄養強化療法のルールに従い、軽度のうちに投与がよい。 加齢に伴い筋力だけが低下のみが、ダイナペニアとした。 サルコペニアもフレイルも、ダイナペニアもサルコペニア肥満も、共通する治療方法は、強めのレジスタンストレーニングと、蛋白質併用である。 病院、介護施設での形式的な体重測定では、意味がない。 フレイルの中で、軽度認知障害+フレイルの人を、コグニティブ フレイルと言う呼び方に統一する。 サルコペニア、フレイルに、人参養栄湯という漢方薬が著効。 来年度から、介護施設の世界に、介護度の改善という結果主義が導入されるが、従来の方法では、改善は難しい。 聴力低下はフレイルの前触れで、起こることが多いが、フレイル状態では発見しずらい。 フレイル、サルコペニアには従来の食事内容だと、改善は難しい。 レジスタンストレーニングは重要な改善策。 強めな筋トレが早く解決する方法。 これ以外にはない。

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日本サルコペニア・フレイル学会

フレイル サルコペニア 学会

フレイル診療ガイド 第1章 フレイルの定義・診断・疫学 CQ1. フレイルとはどのような状態か?(フレイルの定義とは?) 【要約】• フレイルは、要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する。 CQ2. フレイルをどのように診断するか? 【要約】• フレイルの診断方法には統一された基準がないが、Phenotype model(表現型モデル)に基づくCardiovascular Health Study基準(CHS基準)と、Accumulated deficit model(欠損累積モデル)に基づくFrailty Indexが主要な方法である。 CHS基準は、身体的フレイルの代表的な診断法と位置づけられ、原法を修正した日本版CHS基準(J-CHS)が提唱されている。 また、簡易評価法としては、FRAIL scale、Edmonton Frail Scale(EFS)、Tilburg Frailty Indicator(TFI)、基本チェックリスト(KCL)、簡易フレイル・インデックスなどがあり、それらの妥当性も示されている。 CQ3. フレイルを呈する高齢者の割合は? 【要約】• フレイル高齢者の割合は加齢とともに増加し、男性に比較して女性に多い(エビデンスレベル:E-2)。 慢性疾患で外来通院中の高齢者や施設入所者におけるフレイルの割合は、地域在住高齢者における割合よりも高いと考えられる。 CQ4. フレイルの危険因子は? 【要約】• フレイルの危険因子としては、生活習慣(偏った食事内容や運動不足など)、身体的因子(全身の疼痛、難聴、ポリファーマシー、ビタミンD不足など)、心理的因子[意欲低下(アパシー)、抑うつなど]、環境因子(配偶者のフレイルなど)、各種疾患(生活習慣病、心血管疾患など)が挙げられる。 CQ5. フレイルのアウトカムは? 【要約】• フレイルの主要なアウトカムとしては、転倒・骨折、術後合併症、要介護状態、認知症、施設入所、死亡などがあり、いずれの事象の発生もフレイルと有意な関連性がある(エビデンスレベル:E-1a)。 生活習慣病(糖尿病)、心血管疾患などの発症、およびポリファーマシーなどは、フレイルのアウトカムであると同時にその原因にもなり得る(エビデンスレベル:E-1b)。 第2章 フレイルに関連する概念 CQ6. 認知的フレイルの定義・診断法は? CQ7. 認知的フレイルの頻度は? 【要約】• CQ8. 認知的フレイルのアウトカムは? 【要約】• 認知的フレイルのアウトカムに関する報告はまだ少なく、ADL障害の合併が多いこと、認知症(特に血管性認知症)の合併が多いことが指摘されている エビデンスレベルE-1b。 CQ9. 社会的フレイルの定義は? 【要約】• 社会的フレイルの定義は定まっていないが、独居、外出頻度、友人の訪問、家族との接触などについての質問より2つ以上問題がある場合に社会的フレイルと定義されている。 CQ10. 社会的フレイルの頻度は? 【要約】• 評価法は異なるものの地域在住高齢者における社会的フレイルの頻度は8. 1%であった。 CQ11. 社会的フレイルのアウトカムは? 【要約】• 社会的フレイルと有意な関連性を認めるアウトカムは、要介護認定、手段的ADL・基本的ADLの変化、死亡などである エビデンスレベル:E-1b。 CQ12. オーラルフレイルの概念ならびに身体的フレイルとの関係は? 【要約】• オーラルフレイルとは身体的フレイルを引き起こす要因として口腔機能の維持・向上の重要性を啓発することを目的として提案された概念であり、口腔機能の脆弱状態(フレイル)を意味し、日本オリジナルの言葉である。 オーラルフレイルは身体的フレイルと関連がある(エビデンスレベル:E-1a)。 オーラルフレイルは身体的フレイルおよびサルコペニアのリスク因子である エビデンスレベル:E-1b。 CQ13. サルコペニアとフレイルの合併頻度は? 【要約】• サルコペニアとフレイルの合併頻度を調べたコホート研究は、大規模なものが1つと小規模なものが3つあるが、頻度は大きく異なっており、現時点では一定の見解を示すことは難しい。 第3章 フレイルの予防・対策 CQ14. フレイルと栄養(素)・食事との関係はあるのか? 【要約】• 栄養状態はフレイルと関連がある(エビデンスレベ:E-2)。 微量栄養素、特に血清ビタミンD低値はフレイルのリスクとなる(エビデンスレベ:E-1b)。 地中海食をはじめバランスの取れた良質な食事はフレイルを予防する可能性がある(エビデンスレベル:E-1b、推奨レベル:B)。 CQ15. フレイルに対する栄養介入の効果はあるのか? 【要約】• 栄養教育、栄養補助食による単独介入の効果は弱く推奨する(エビデンスレベル:1、推奨レベル:B)。 運動療法と栄養補助製品との併用療法は推奨する(エビデンスレベル:1+、推奨レベル:A)。 CQ16. フレイルの発症・進行予防に運動介入は有効か? 【要約】• フレイルに対する運動介入は、歩行、筋力、身体運動機能、日常生活活動度を改善し、フレイルの進行を予防し得るため推奨される(エビデンスレベル:1、推奨レベル:A)。 CQ17. フレイルの発症・進行を予防するにはどのような運動が推奨されるのか? 【要約】• 第4章 各種疾患とフレイル CQ18. フレイルでは起立性低血圧、起立性調節障害の割合が増加し、予後も悪い(エビデンスレベル:E-2)。 CQ19. 降圧治療とフレイルとの関連は? 【要約】• 降圧治療による心血管病発症予防効果はフレイルの有無に関わらず認められ、厳格な降圧が推奨される(エビデンスレベル:1、推奨レベル:B)。 CQ20. 心房細動とフレイルとの関連は? 【要約】• 心房細動を有する高齢者におけるフレイルの頻度は高く、予後悪化と関連する(エビデンスレベル:E-2)。 CQ21. 急性冠症候群または経皮的冠動脈形成術とフレイルとの関連は? 【要約】• ACS後またはPCI後の高齢者におけるフレイルの頻度は高く、短期または長期予後悪化と関連する(エビデンスレベル:E-1b)。 CQ22心不全とフレイルとの関連は? 【要約】• 心不全患者におけるフレイルの頻度は19〜40%と一般集団より高率であり、フレイルは心不全患者の再入院や死亡といった予後悪化に関連する(エビデンスレベル:E-1b)。 CQ23フレイルを有する心不全患者への介入はアウトカムを改善するのか? 【要約】• フレイルを有する高齢心不全患者に対する運動や多職種介入による予後、身体機能やADLの改善、医療コスト軽減効果は期待されるが、エビデンスは十分ではない(エビデンスレベル:1、推奨レベル:B) CQ24. フレイルは糖尿病と関連するのか? 【要約】• 糖尿病はフレイル発症リスクを増加させるとともに、フレイルが糖尿病の発生リスクを増加させる(エビデンスレベル:E-1b)。 高血糖のみならず、糖尿病患者でのHbA1c低値はフレイル発症のリスクになる可能性がある(エビデンスレベル:E-1b)。 CQ25. 低血糖はフレイルのリスクを上昇させるのか? 【要約】• 低血糖は身体機能の低下を来すため、フレイルのリスクを上昇させる可能性がある(エビデンスレベル:E-2)。 CQ26. 糖尿病にフレイルが合併すると予後に影響するのか? 【要約】• フレイル糖尿病高齢者の予後は不良である(エビデンスレベル:E-1b)。 CQ27 フレイルとCOPDの関連は? 【要約】• COPD患者におけるフレイルの頻度は、地域住民の7%から呼吸リハビリテーション外来の26%までであったが、TFIでみたフレイルの頻度の報告では58%と高値であった。 COPD患者のフレイルは身体機能障害と関連し、新たな予後予測因子である(エビデンスレベル:E-1b)。 CQ28 COPDの包括的呼吸リハビリテーションはフレイルCOPD患者のアウトカムを改善するのか? 【要約】• 包括的呼吸リハビリテーションプログラムを完遂できたCOPD患者には、フレイル改善効果がみられた エビデンスレベル:E-1b,推奨レベル:B。 CQ29 保存期慢性腎臓病(CKD)とフレイルとの関連は? 【要約】• 保存期CKD患者におけるフレイルの頻度は5. 9〜56%と一般集団より高率であり、フレイルはCKDの予後悪化に関連する(エビデンスレベル:E-1b)。 CQ30透析患者においてフレイルは予後悪化と関連するのか? 【要約】• 透析患者におけるフレイルの頻度は13. 8〜67. 7%と一般集団、保存期CKD透析患者より高率であり、フレイルは透析患者の予後悪化に関連する(エビデンスレベル:E-1b)。 CQ31. フレイルを有する骨粗鬆症患者の頻度は? 【要約】• フレイルと骨粗鬆症には密接な関連があり、フレイル高齢者では骨粗鬆症の有病率が高い エビデンスレベル:E-1a。 CQ32. 骨粗鬆症治療は、フレイルな骨粗鬆症患者のアウトカムを改善するのか? 【要約】• フレイルな高齢者の骨粗鬆症には、薬物治療や運動療法が提案される エビデンスレベル:1, 推奨レベル:B。 CQ33. フレイルと認知機能低下との関連は? 【要約】• 縦断調査によれば、フレイル高齢者は認知機能が低下しやすく、認知症(特に血管性認知症)になりやすい。 逆に、認知機能低下者はフレイルになりやすい(エビデンスレベル: E-1a)。 フレイルと認知機能障害を合併すると、手段的ADL、基本的ADL、身体機能が低下しやすく、死亡率が高くなる(エビデンスレベル:E-1b)。 CQ34. フレイルに対する介入は認知機能の改善につながるのか? 【要約】• 運動介入は、栄養、薬物、認知、社会的な介入と組み合わせることによって、フレイル高齢者の認知機能改善を図ることが期待できる(エビデンスレベル:1、推奨レベルB)。 CQ35. 加齢性白内障はフレイル評価指標とその該当数と関連するのか? 【要約】• 白内障の有無や程度がフレイルの程度と関連がある。 CQ36. 視機能障害を伴う眼疾患はフレイルに関連するアウトカムと関連するのか? 【要約】• 視機能障害を伴う眼疾患は、ADLの低下、手段的ADLの低下、転倒・骨折、認知機能障害、貧困、施設入所、入院などと関連し得る。 CQ37. ポリファーマシーはフレイルと関連するのか? 【要約】• ポリファーマシーはフレイルの危険因子である(エビデンスレベル:E-1b)。 薬剤数6種類以上または7種類以上がフレイルのハイリスクである(エビデンスレベル: E-2)。 CQ38. フレイルとの関連が指摘されている薬剤はあるのか? 【要約】• 抗うつ薬の使用はその種類やうつ症状の有無にかかわらず、フレイルのリスクとなる(エビデンスレベル:E-1b)。 抗コリン作用を有する薬剤やベンゾジアゼピン系薬剤、非ベンゾジアゼピン系薬剤などは認知機能障害あるいは転倒・骨折との関連が報告されている。 抗コリン作用を有する薬剤やベンゾジアゼピン系薬剤を含めた鎮静薬はプレフレイルと関連している可能性があり、これらの薬剤とフレイルそのものとの関連を示した直接的なエビデンスはないが、これらの薬剤は避けることが望ましい(エビデンスレベル:E-1b、推奨レベル:B)。

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医学書院/週刊医学界新聞(第3216号 2017年03月20日)

フレイル サルコペニア 学会

その脆弱性は不可逆なものと考えられてきたが,適切な介入により一部は維持・改善できることが近年明らかになっている。 生命・機能予後の推定に大きく影響することからも,高齢者診療にたずさわる全ての医療者にとって無関係ではいられないサルコペニア・フレイル。 本紙では,その定義と意義,実臨床での介入戦略をお話しいただいた。 若林 サルコペニアとフレイルは,老年医学領域だけでなく,臨床のさまざまな科で注目されるキーワードになってきています。 国内外での関心の高まりが,論文数の増加からもうかがえます( 図1)。 しかし,比較的新しい概念のため,重要性は認識されても,定義や介入方法は十分に知られていないと感じることがあります。 そこで今回は,近年の大きな動き( 表1)を踏まえながら,それぞれの概念と意義,介入戦略について議論したいと思います。 表1 サルコペニアとフレイルをめぐる近年の動き 介入により改善できる高齢者の可逆的な脆弱性「フレイル」 若林 荒井先生,まずはフレイルの歴史と定義を教えてください。 荒井 フレイルの研究は古くは1980年ごろからありましたが,研究が盛んになったのは21世紀に入ってからです。 1999年にRockwoodらが,疾病や老年症候群などが積み重なるほど要介護率と死亡率が高いことを指摘し,高齢者総合的機能評価(CGA)のアプローチでフレイルを評価しようとしました。 それに対し,「体重減少」「筋力低下」「易疲労感」「歩行速度低下」「身体活動低下」という5つの要因の有無でフレイルを評価する表現型モデルを2001年にFriedらが提唱したのです。 現在では多くの研究者がFriedのモデルをもとにして研究を行っています。 フレイルには3つの特徴があります。 加齢に伴い,さまざまな機能低下や予備能力低下が引き起こされます。 それが一定のレベルに至ると,外的なストレスに対して脆弱性を示すようになります。 さらに,加齢だけでなく,疾病や薬剤,栄養,生活習慣といった身体的・精神心理的・社会的要因が影響を及ぼすことがわかっています。 若林 フレイルは,「健康」と「要介護」の間の状態という理解で良いでしょうか( 図2)。 生理的予備機能は低下し,家事などのIADL(手段的日常生活活動)には少し支障が出ているものの,ADL(日常生活活動)は自立しているというイメージです。 図2 フレイルの位置付け フレイルを維持・改善することで要介護期間を短くできると考えられる。 荒井 そうですね。 実はフレイルの定義は明確には定まっておらず,要介護状態をフレイルに含める定義もあります。 しかし,いわゆる非自立期は要介護になってからを示します。 可逆性という観点から,要介護をフレイルに含めない立場を取っています。 若林 「可逆性」は,特に重要な要素ですね。 リハビリテーション(以下,リハ)の現場では,要介護状態を維持あるいは改善しようと日々取り組んでいますが,大変な努力を要します。 フレイルのうちに介入すれば,維持・改善が比較的容易だということですか。 荒井 はい。 しかし,適切な介入をすることで改善することが明らかになりました。 フレイルを適切に定義し,早期に診断・介入することで,要介護になるリスクを減らし,健康寿命を延ばせると考えています。 高齢者のサルコペニアはあらゆる診療科で不可欠の視点 若林 サルコペニアは,フレイルの最も大きな原因の1つとしても注目されています( 図3)。 葛谷先生,サルコペニアの定義を教えてください。 図3 フレイルサイクル サルコペニアを含む多様な要因が相互に影響し合ってフレイルが悪化していく。 葛谷 サルコペニアは,「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少」に特徴づけられる症候群で,「身体機能障害,QOL低下,死のリスクを伴うもの」と定義されます。 サルコペニアもフレイル同様,かつては加齢によるやむを得ない変化だと思われていました。 しかし今では,適切な介入により改善すること,加齢以外にも原因があることがわかっています。 若林 どのような原因があるのですか。 葛谷 活動量の低下や,がんや臓器不全などの疾患,廃用,栄養障害などが影響すると指摘されています。 加齢変化のみによるサルコペニアは「一次性サルコペニア」,その他の要因もかかわるものは「二次性サルコペニア」と呼ばれています。 若林 2010年に二次性を含むサルコペニアの定義が示され,さまざまな疾患がサルコペニアやその原因と関連付けて説明できるようになったことは,非常にインパクトがありました。 最近では,日本肝臓学会が肝疾患のサルコペニア判定基準を出しました。 サルコペニアの嚥下障害の診断フローチャートも出ましたね。 葛谷 サルコペニア・フレイルは高齢者の生命・機能予後の推定に影響します。 今後は,あらゆる診療科において重要な視点になると思います。 プライマリ・ケアではまずはスクリーニングを 若林 では次に,実臨床における介入戦略にいきたいと思います。 病院や診療所に勤める医師は,どうやって診断していけば良いのでしょうか。 葛谷 サルコペニアには明確な診断基準があります( 表2)。 ただ,中には正確に測定するのが難しい項目も含まれています。 プライマリ・ケアの現場では,厳密な診断基準にこだわるよりも,スクリーニングをして専門機関につなげることが重要です。 表2 サルコペニア診断基準(AWGS基準) 筋量については,特定健康診査の腹囲のように,下腿周囲長からある程度推測できます。 カットオフ値には議論がありますが,日本人なら下腿周囲長は約30 cmという印象です。 上腕周囲長とキャリパーで測定する上腕三頭筋部皮下脂肪厚から上腕筋周囲長や筋面積を出す公式もありますが,臨床の現場ではそれほど一般的ではありません。 荒井 下腿周囲長測定は,男性の場合は有用ですが,女性の場合は筋肉の質やサルコペニア肥満的な要素,むくみの個人差が大きいため,あまり参考にならない印象なので,上腕周囲長測定を使うほうが良いと思います。 若林 歩行速度は椅子からの立ち上がり(チェアスタンド)などで代用できます。 5回を10秒でできるかが目安です。 葛谷 略式になりますが,自分の歩く速度が速いか遅いか,信号が青のうちに渡りきれるかなどの主観による問診でもある程度のスクリーニングは可能です。 若林 フレイルの診断はいかがでしょうか。 荒井 サルコペニア同様,プライマリ・ケアでは広くスクリーニングすることが優先です。 自治体における二次予防事業対象者抽出のマス・スクリーニングに2006年から使われていた「基本チェックリスト」は,フレイルの三要素である身体的,精神・心理的,社会的側面を含む優れたツールです。 日本独自のもので,客観的指標が含まれないため国際比較などには使えませんが,スクリーニングを目的にする分には問題ありません。 若林 IADL,運動・転倒,栄養,口腔機能,閉じこもり,認知症,うつに関する25項目からなる自己記入式の総合機能評価ですね。 荒井 より簡便なツールとしては,Friedのモデルを改良してつくられたJ-CHS基準( 表3)がお勧めです。 身体的フレイルに限る基準ですが,客観性もあって良いと思います。 当センターが進めるフレイル・レジストリでも基準として活用しています。 表3 フレイル評価方法(J-CHS基準) 介入においては,内科医,専門医,多職種の連携が不可欠 若林 診断したら即介入,というわけにはいきませんよね。 その患者さんがなぜサルコペニア・フレイルになっているのか,原因を把握する必要があります。 どういった点に注意すべきでしょうか。 荒井 介入のためには,フレイルの病態を理解する必要があります。 冒頭に述べたように,フレイルにはさまざまな要因が影響します。 まずは最大の原因であるサルコペニアの有無を確認し,次に薬の副作用の有無を確認,ポリファーマシーの改善を含めた薬の見直しを行います。 併存疾患にも注意が必要で,腎機能や呼吸機能,心機能の低下などを伴う身体疾患は,疾患自体をしっかりとマネジメントせねばなりません。 認知機能低下を含む精神心理面への対応や,社会参加の支援も必要になるでしょう。 若林 身体疾患に関しては,内科と協働して,疾患の管理とフレイルの評価を同時に行うことが求められます。 フレイルに関与している疾患の中での優先順位を決め,内科医にもサルコペニアやフレイルを視野に入れた介入をしてもらう必要があります。 葛谷 サルコペニアの場合も,まずは二次性かどうかの鑑別をし,背景に疾病があればその管理との兼ね合いを考えます。 その上で,栄養不足や運動不足などを評価し,治療を行います。 若林 サルコペニア・フレイルに対する介入を行う際には,栄養療法や運動療法の具体的なノウハウが医師に少ないことも問題になりそうです。 葛谷 そうですね。 必要な栄養素の量や摂取カロリーが数字でわかったとしても,その目標のために何を食べさせたら良いかまでわかる医師は少ないでしょう。 治療・介入においては他職種との連携が重要です。 当院の場合はリハ外来がないので,地域資源の把握,地域の他施設との連携も不可欠になっています。 若林 最近は管理栄養士や理学療法士がいる診療所も増えていますよね。 もし栄養や運動について細かいオーダーをする知識がないのであれば,介入すべき患者さんを発見し,他職種につなげる役割を果たすだけでも十分だと思います。 私の場合は,「炎症が強いときには筋トレ不要」「NSTに依頼」などと指示し,運動と栄養のコーディネートをある程度しています。 荒井 一番良いのは,多職種チームで取り組むことです。 当センターは,「ロコモフレイル外来」を設置しているので,栄養だけでなく,運動,ソーシャルワーク,ポリファーマシーについて,多職種で意見を出し合って方針を決めています。 身体・精神心理・社会という3つの要因が相互に負の作用を及ぼし合うのを防ぐためには,多職種で情報共有すると進めやすいです。 運動指導は,単純なサルコペニアであればレジスタンス運動と有酸素運動の組み合わせ,ロコトレで行うような片脚立ちやスクワットから行っています。 ただ,関節疾患や重度の肥満など,自力での運動は困難な患者さんもいます。 そうした場合は,機械的なアプローチも必要です。 葛谷 自力での運動ができる方でも,運動を継続してもらえるかという問題がありますよね。 若林 ある程度ADLが自立している場合,IADLに問題があってもモチベーションはあまり上がらないものです。 葛谷 指導するだけでなく,その後の仕掛けが大事だと思うんです。 市町村の介護予防事業の運動教室など,地域包括ケアシステムとリンクさせていくかたちが一番効果的なのではないでしょうか。 医原性サルコペニア防止へ医療者,患者の意識改革を 若林 私が課題に感じているのは,医原性サルコペニアです。 何らかの疾患で入院した際,例えば誤嚥性肺炎であれば,治るまで1~2週間ベッド上安静,禁食,水電解質輸液のみとなりがちです。 それによりサルコペニアが急速に進行し,寝たきりや嚥下障害を起こし,要介護状態に至るケースを数多くみています。 葛谷 「栄養」と「運動」両方に問題がありますね。 1つには,これまでは栄養管理というと,メタボリックシンドローム中心に考えられてきたことの弊害があると思います。 管理栄養士はカロリーを減らす方向の実践を多くしてきているため,高エネルギー食や高タンパク質食に慣れていないようです。 栄養が必要なことはわかっていても,経口摂取は躊躇して末梢静脈栄養のみにしてしまうというケースもあるようですね。 荒井 嚥下障害が重度な場合は仕方ありませんが,オーラルフレイル予防の観点からも,早い段階できちんと評価した上で,判断すべきですね。 若林 ADLに障害がある高齢者のHbA1cも7%未満にしようとして,過度にエネルギーを制限した食事を提供するといった状況も散見されます。 葛谷 去年5月に,「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」が日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同で発表されました。 ADL低下や認知機能障害,併存疾患がある場合,さらに重症低血糖が危惧される薬剤の使用がある場合は,血糖コントロール目標値が高く設定されています。 2学会合同でメッセージを出したことで,今後は年齢やADL,認知機能を考えて栄養管理されるようになると期待しています。 若林 他の疾患についても患者さんの状態に応じた管理目標が立てられるようになると良いですよね。 例えばCKDは現状の診療ガイドラインに則ると,高齢者でも厳格なタンパク制限が必要です。 糖尿病同様,高齢者や障害者という点を鑑みた落としどころがあるのではないかと感じています。 葛谷 あわせて,国民への啓発も必要だと思います。 高齢になっても,壮年期・中年期に受けた指導のままの食生活をし,低栄養状態に陥っている例を目にすることがあります。 荒井 高齢者に減量の相談をされることもありますが,75歳以上の場合,BMI30以上などの過度な肥満や体重による膝関節への影響がない限り,食事制限による減量は必要ないですよね。 葛谷 65~75歳の間に「メタボ対策」から「低栄養対策」に転換すべきです。 荒井 もう1つ,運動については,炎症がある場合は運動ができないと勘違いしている医師が多いように感じます。 若林 レジスタンス運動などの強度が高い運動は,炎症が強い場合には禁止すべきですが,座らせる,立たせるという離床レベルの運動はむしろ行うべきです。 葛谷 「ベッド上安静」という指示を,安易に使ってしまいがちな問題もあります。 指示を出したことを忘れてそのままリハオーダーが遅れたり……。 若林 ベッド上安静の指示があると,リハスタッフは坐位を取らせることもできなくなってしまいます。 できるのは,関節可動域訓練やベッド上の呼吸訓練くらいでしょうか。 心不全で循環動態が悪い,脳梗塞で麻痺が進行中といった場合以外は,医師と看護師が医原性サルコペニアをつくってしまわないよう,注意すべきですね。 保険診療病名への収載,診療報酬加算に向けて 若林 2016年10月にサルコペニアがICD-10に採択されました。 フレイルもAge-related physical debilityの名称で以前から収載されているため,ともに国際的には疾病として認められていると言えます。 今後,日本でも保険診断名に導入されることが期待されます。 荒井 サルコペニアは現在申請中です。 フレイルは「虚弱」という漢方の病名が既にあるため,新規に申請すべきか,虚弱に含める形にすべきか検討中ですが,いずれにせよ一定条件に達した介入をすれば診療報酬が得られる形にしていきたいです。 若林 将来的には学会で認定制度などをつくる意向もあるそうですね。 荒井 はい。 サルコペニア・フレイルの認知度向上と,診断・予防・介入の考えを共有することを目的に,医師だけでなく他の職種も対象に含めたかたちで検討しています。 講習やワークショップ,レポート提出などを通して質の向上も図りたいです。 また,サルコペニアでは診療ガイドライン,フレイルは診療ガイドの作成を進めています。 さまざまな疾病との関係,疾病ごとのアプローチの違いなどを含めた指針をめざしています。 若林 国際的に疾患として認められ,国内でもガイドラインやガイドができ,資格制度ができるとなると,その次には栄養指導やリハなどへの加算をめざしたいですね。 荒井 時間はかかると思いますが,エビデンスのさらなる蓄積とあわせて,一歩ずつ前に進みたいです。 * 若林 サルコペニア・フレイルは,多職種がかかわる,新しくて重要な領域です。 医学教育モデル・コア・カリキュラムでは平成28年度改訂版(案)に含まれていますし,来年からは医師国家試験の出題基準にも入ります。 老年医学やリハ医学の講座がない大学もあるなど,卒前教育にも課題はありますが,1つひとつの疾患を治癒するだけではなく,「健康寿命を長くする」という視点で治療していけるよう,全ての診療科の医師にサルコペニア・フレイルへの関心を持っていただければ幸いです。 第4回日本サルコペニア・フレイル学会 日時:2017年10月14~15日 会場:同志社大今出川校地 寒梅館(京都市上京区) 大会長:石井好二郎(同志社大) URL: 第3回アジアフレイル・サルコペニア学会 日時:10月27~28日 会場:ソウル大盆唐病院(韓国 城南市) (了) あらい・ひでのり氏 1984年京大医学部卒,91年同大大学院医学研究科博士課程修了,93年米カリフォルニア大サンフランシスコ校研究員。 京大医学部老年科助手,老年内科助手,同講師を経て,2009年より京大大学院医学研究科人間健康科学系専攻教授,15年より現職。 日本サルコペニア・フレイル学会代表理事。 老年医学,フレイル,サルコペニア,脂質代謝異常を専門に,多職種連携,地域医療にも携わる。

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